文月ブログ

「十億本の杉を伐る」

「十億本の杉を伐る」 五年ほど前、私が考えていた本のタイトルだ。手入れされていない人工林の1ha当たりの本数をざっと2000本とすれば50万ha、全国の杉林の8分の1くらいに当たる。こんな乱暴な標題を考えたのは、都市に暮らす人の意識を日本の森林に向けさせるのに、花粉症というキーワードが有効かもしれないと思ったからである。キャッチーなフレーズで引き付け、実際にはそれがどれほど大変なことかを理解してもらうと同時に、長期的な関わりを目指し薄く広く資金を募る手段にならないかと考えた。自分が何かを成したいがための浅知恵だったと思う。
 だから最近、花粉症のために杉の大量伐採をと政府が言い出したのには心から驚いた。木材価格の暴落や、今でさえ3割程度しかできていない再造林をどうするのか、炭素の固定やCo2吸収に森林が大きな役割を果たしているとする主張との整合性は?心ある林業関係者から一斉に疑問の声が上がった。気候変動を人類がコントロールできなくなる状況まで、あと10年しかないと言われている。木を伐ってしまえば、同じ状態に戻るのに50年はかかる。自分も花粉症に悩む一人だが、その対策で大きな混乱が起き、気候危機が早められてしまうのは受け入れ難い。私が一般の人々に届くような、業界を超えた発信力を得たいと思うのはこんな時である。

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