文月ブログ

モバイル建築の高い完成度

高機能な住める動産、モバイル建築をこの目で見て来た。茨城県境町にある「モバイル建築さかい研究開発センター」(https://mobakyo.or.jp/)の敷地には、ある企業がふるさと納税を活用して建て、町に寄贈した複数の建物が並んでいる。
モバイル建築を構成するユニットは、一つなら事務所や単身者世帯に、二つ並べれば一般住宅、七つ連結して上にも重ねれば広い会議室をもつ多目的建築という具合に、自由に組み合わせが可能だ。海上輸送用の40フィートコンテナとほぼ同じサイズなのは、製造企業の工場が海外にあり、貨物船に載せて港に着いた後、トレーラーで運ぶことを想定したからだろう。もちろん玄関やサッシもついて、高気密高断熱の快適な居住空間だ。連結部分の壁が厚くなる分、室内は多少狭く感じるが、温かみと清潔感のある、居心地の良い住まいであるのは間違いない。
基本構造が同じ規格型で製造コストを低く抑えられる上、土台から切り離して移設が可能なので、償却期間が7年というリース契約も成立する。住宅価格が爆上がりする今、ローコスト高機能賃貸は、確実に需要が見込めるブルーオードシャンかもしれない。
願わくは、これが今後、国産材を使って国内で製造されるようになって欲しいものだ。12メートル強という長さは運べる場所に制約がある。それを解決するためにも、大型パネルの技術を用いて地域の森林資源情報と連携した、国内規格のモバイル建築の開発が望まれる。そうすれば、住む人はローンという重い鎖に繋がれることも、地域の衰退という悲劇に押しつぶされることもない。木材を安いまま運ぶのではなく、付加価値の高い住宅にして流通させれば、山に再資源化が可能な利益が還る。その時にはきっと、森と人の新しい関係が生まれるだろう。

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