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森と生きるために-「フィンランド虚像の森」を読んで

2022年8月24日に、「フィンランド虚像の森」という翻訳本が、新泉社から出版されました。フィンランドの4人の若手ジャーナリストが、自国の林業の在りように疑問を持ち、各地の実態を調査して提言した書籍です。本国で高く評価され、フィンランディア文学賞(ノンフィクション部門)を受賞しました。非常に多くの美

森と生きるために-量から質へ

4月末から今日まで120日、一日も欠かさずブログを書いてきました。当初はまだ書籍の原稿を書いている最中で、筆力に自信の無かった私は、少しでも力をつけようとブログも並行して書いていたのです。量が質に転じるということは多くの書籍や記事で目にしていたので、時間的には厳しくても迷いはありませんでした。書

森と生きるために-木材とフェイク

会社に近い駅の構内に、チェーン展開しているカフェがあります。周囲のお店のランチは量が多くて食べきれないこともあり、女性の訪問客がある時などに利用しています。ある日、ふと見ると木材に見えていた内装の柱の一部が傷つき、貼られていた薄いプラスチックがめくれていました。本物の木とそっくりな模様を印刷した、フ

森を巡る旅-無垢材信仰を超えて

私が2006年に「家づくり体験塾」で大工の真似事を始めた頃、協力していた木材会社の社長さんから木材に関する講義を受けました。その方の主張は、簡単に言ってしまえば国産の無垢材を使うのが一番良いのだということです。薄く切った板を貼り合わせる集成材は、接着剤の寿命が終われば建築の寿命も終わってしまう。無垢

森と生きるために-地熱発電との共生

朝のテレビ番組で、地熱発電への取り組みが紹介されていました。昔から大きな潜在力を秘めていると言われながら、温泉関連事業者の反対などで利用が進まなかった地熱発電に、新しい波が起きているというのです。それを進めているのが、何と全国に約960のフランチャイズ店舗を展開する「業務スーパー」の創業者だそうで、

森を巡る旅-夾竹桃と楠

夾竹桃(キョウチクトウ)の白やピンクの花弁が、夏の青空を背景に風に揺れる様子はいかにも爽やかです。名前の由来は、葉が竹の葉に、花が桃の花に似ていることからきているとか。しかし、夾竹桃には枝葉だけでなく根や果実を含む全ての部分に強い毒が含まれていて、うっかり触って口にすると中毒を起こして死ぬこともある

森と生きるために-遅すぎるツバメの子育て

昨夜、所用で訪れたJR総武線幕張駅の構内に続く階段で、ピーピーと鳴く声がする方向を見上げると、何とこの時期にツバメのヒナが巣から顔を出しています。親鳥も付近を飛んでいて、虫を捕えてはヒナに運んでいました。親鳥が近づく度に、3羽のヒナが一斉に細い首を伸ばして餌をねだる様子はとてもたくましく、時期外れと

森を巡るショートトリップ-枯れ木の役割

毎年購入しているカレンダーの8月は、青い湖の中にカラマツの枯れ木が並ぶ、ちょっと変わった光景です。枯れ木が湖の中に立っているのは、ダムの建設で水没したか、山が崩れて川をせき止め、一帯が湖になったものでしょう。上高地の大正池が有名でしたが、少しずつ倒れて、近年はほとんど無くなったと聞きます。アマゾン川

森と生きるために-木造住宅の需要

「住宅が建たないから、市場で木が売れないんだと思ってました。違うんですね。」これは最近、都市部の木材市場で働く男性から聞いた言葉です。恐らく、住宅に使う製材品は地方の製材工場から直接プレカット工場に向かい、そこで加工されて建築現場に納品されるので、都市部の木材市場を経由することはほとんど無いでしょう

森と生きるために-森林での放牧

昨日は馬の事を書きましたが、今日は牛を森で放牧する試みについてです。10年以上前になりますが、環境系のコンサル会社が中心になって、乳牛を森林で放牧し、採れた牛乳をブランド化して販売する試みがありました。牛が人工林の草を食べれば、必要な下刈りの労力を省くことができます。森を歩き回ることで足腰を鍛えた健

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