長野県小谷村、妙高戸隠連山国立公園の標高850Mの山腹に、山田旅館は建っています。江戸、明治、大正、平成とそれぞれの時代に建築された建物が軒を連ね、うち6棟が登録有形文化財になっています。江戸時代に作られた本館は今も客室として使われており、文化財に泊まることができる、珍しい宿なのです。川中島の合
楠と聞くと、その漢字からして温かい地方の樹木というイメージですが、関東では街路樹に多く、私の住む街も、勤め先のビルの傍にも、楠の武骨な幹がそびえ立っています。時に、丸坊主に見えるほど強度に剪定されることがありますが、数か月後には再び枝を伸ばし、緑の葉で覆われ、その生命力の強さに感嘆します。常緑広葉樹
森の中には、高木になる木ばかりでなく、低木でも存在感を発揮する木が沢山あります。中でも私にとって思い出深いのが「クロモジ」です。箱根の山中に多く自生していて、ゴールデンウイークの時期に黄色い花を咲かせるため、自然解説の中で必ずとり上げる定番の樹木でした。雌雄異株であり、雌雄どちらも散策路のすぐ脇にあ
楢というのは、クヌギやミズナラ、カシワなど、コナラ属の落葉広葉樹の総称だそうです。箱根にはミズナラが多く自生していて、葉の形から見分けもつきやすく、自然解説の折にも馴染み深い樹木でした。落ちていた葉を鹿の角に見立てて、子供達の笑いを誘ったことも、懐かしい思い出です。そんな私が家を新築した時、奮発
新緑の季節はどんな木も瑞々しい衣装を身にまといますが、欅のそれは殊に人目を引く、格別の美しさだと感じます。互生する新しい葉をつけた沢山の枝が一斉に四方に伸び、その微妙に異なる緑の濃淡が重なり合って風に揺れる様子は、ずっと見ていたいと思うほどです。そんな思いは多くの人に共通していたのでしょう。仙台
箱根でパークボランティアの研修を受けた時、ブナが木偏に無と書いて「橅」とされるのは、材が腐りやすくて役に立たないからだと教えられました。大木になるのに建築などにはあまり使われない、残念な木だと思いましたが、同時に「緑のダム」という言葉も聞きました。山に雨が降った時、大量の葉でそれを受け止め、雨水が一
「栗」と聞けば食用の栗を思い浮かべますが、「栗の木」と聞くと、多くの人は何を思うのでしょうか。私は鉄道の枕木を思い出します。幼い頃、線路のすぐ傍に住んでいたことがあり、列車が通過する時の振動や音、近くの踏切の様子も微かな記憶として残っています。森林や林業に関心を持つようになってから、レールを支えてい
柳という一文字を聞けば、ほとんどの人はシダレヤナギを思い浮かべるでしょう。池の周りなど水辺に多く、夏の暑い時期に、その風に揺れる様は見た目にも心地よいものです。実際に日本の柳は水分の多い土壌に強く、水害などで流されても、その倒れた幹から容易に芽を出すことで、河畔に多く自生するようです。上高地に行った
松・杉と来れば、次は当然檜だろうと思いつつ、考えてみると、私には檜に関する思い出があまり無いことに自分でも驚いています。檜舞台、檜風呂、総檜の家、といった華々しい言葉にあるように、昔から檜は木造建築の花形でした。しかし現在、住宅部材のリストを見ると、土台に使われることが多いようです。強度では米マ
私が杉という樹木を初めて意識したのは、2000年に箱根でパークボランティアの研修を受けた時です。杉と檜の葉の違いに加え、杉は木が真っ直ぐに生えることから、「すぐ木」が「すぎ」になったという説を聞きました。それより印象に残ったのは、先輩ボランティアが見せてくれたある技です。10センチ以上の長めの杉の穂