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森と生きるために-気候変動と住宅性能

「家の作りやうは、夏をむねとすべし」とは、良く知られた徒然草の一文です。冬はどんなところにも住めるが、夏に暑い家は耐え難い、と続きます。吉田兼好が住んでいた京都は、昔から冬寒くて夏は暑いところと言われていましたし、それ以外の地域でも、障子や襖を開け放てば風が通るように、家の向きなどを工夫して建ててい

森と生きるために-山長グループの大型パネル工場②

長い歴史を持つ山長グループが、もともと集成材を原則とする木造大型パネルの工場を自ら手掛ける。その目的は「国産材復権への挑戦」ではないか、私はそう考えました。歴史のある企業は、変化への対応力に優れた企業でもあります。社会が大きく変わり、しかもこの30年間、木材の価格がずっと下がり続けてきたにもかかわら

森と生きるために-山長グループの大型パネル工場①

和歌山県の田辺市に本社を置く山長商店、その歴史は古く、ホームページによれば江戸時代末期から育林事業を始めたとあります。所有する6000haの山林やその周辺地域から丸太を伐り出し、製材・乾燥させ、プレカット工場で加工し、住宅建設の現場に納品する、一貫生産を手掛ける老舗の企業グループです。山長材と言

森を巡る旅-木材コーディネイト基礎講座②

2019年の12月、国材コーディネイト基礎講座の二回目の演習が、前回と同じ飯能で行われました。ほぼ一日、製材所や屋外で過ごすので、防寒対策を厳重にするよう注意がありました。私はもともと寒がりなので、言われずとも人より多く着込んでいくのですが、この時はそれでも足りず、使い捨てカイロをもらって背中に貼っ

森を巡る旅-木材コーディネイト基礎講座①

3年ほど前、兵庫県にあるNPO法人の主催する「木材コーディネイト基礎講座」を受講しました。この団体は10年以上前からこの講座を開催していましたが、場所が丹波市という遠方だったため、10万円を超す受講料と交通費・宿泊費の負担、そして休みを取る日程調整の困難さで諦めていたのです。この年は、初めて東京での

森と生きるために-木造高層ビル

先日、大手保険会社が、丸の内に高さ100メートル、地上20階の木造高層ビルを建てるというニュースが流れてきました。昨年、公共建築物等木材利用促進法が改正され、対象が民間の建築物にも広がったことや、企業がSDGs・ESG投資といった考え方を重視するようになったことなどから、国産材を使おうとする機運が高

森と生きるために-森林列島再生論

9月上旬に、ずっと準備を進めて来た本が日経BPから出版されます。ECサイト上の予約受付も近く始まる予定で、書籍のタイトルは「森林列島再生論」。昨年の秋にウッドステーションの塩地会長が構想し、当初は筆者というより専門家と読者の橋渡しをする「森林添乗員」としての役割を打診され、最終的には自分の目線で一章

森と生きるために-業界の新陳代謝②

林業・木材業で、情熱を持って取り組んでいた人が、諦めたように他の業界に移っていく、それは組織や人の新陳代謝が進まず、業界全体が硬直化しているからではないか、と私は感じます。それは日本中で起きていることで、林業・木材業に限ったことではない、と言う声があるかもしれません。しかし、例えばNHKのニュースで

森と生きるために-業界の新陳代謝①

私は今年の4月、新しく設立された会社で働き始めると同時に、本名ではなくペンネームで活動することを決めました。それまで自分の歩んで来た道が、当初の志とは違う、本筋ではない方向へ迷い込んでいたことに気づき、その原因となった自分の甘えに決別したかったからです。これまでご縁のあった多くの人とのつながりを失う

森と生きるために-ヘルスツーリズムの進化

旅行会社のグループ企業に勤めていた時、私は一時期ヘルスケア事業に関わっていて、人間ドックの予約や精算代行、検診データの集約などの業務を行っていました。そんな関係もあり、ヘルスツーリズムには自分でも関心があったほか、それを開発する地域の方からのお声がけも頂いて、広島や岡山、長野など、各地のモニターツア

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