CONTENTS

森林組合の多様な姿

森林組合がどうあるべきか、法律の枠内で経営することは当然として、何をどこまでやっていいのかには様々な考え方があるようだ。木や木材と何の関係も無い仕事に違和感を覚えるのは誰でもわかるが、木材の先にある建築に手を伸ばすことには異論があるかもしれない。昨日紹介した森林組合の方に詳しくお話を伺うと、プレ

多能人材が開く山の未来

ある森林組合を調べていて、その事業内容が多岐にわたることに驚いた。森林整備や木材販売以外に製材加工や木工を手掛ける組合は珍しくないが、プレカット事業も行い、工務店と連携して地域材の住宅を提供している。他に原木しいたけの栽培と販売、薪の予約販売、森林セラピーやキャンプ場の運営まで。それを25名程度の従

ブナの森の再生③

ブナの稚樹は雪解け後に真っ先に葉を広げ、競争相手がいない初夏の間に一年分の栄養を蓄える。だからその後、伸びてきた草本に光を遮られても枯れることはなく、冬が来て雪が降ると、その下でまたじっと春を待つ。ブナの研究で博士合を取得された、長野県林業総合センターの小山育林部長のお話はとても興味深いものだった。

ブナの森の再生②

早く森に戻るよう手助けする。昨日と今日、木島平で行ったブナの移植にはそんな目的があった。新幹線の飯山駅から車で50分程の、カヤノ平という場所だ。昔、村が国有林を借りて牧草地に変え、牛の放牧をしていたが、牛乳の消費量が減って規模を縮小する事態になった。国に借地の返還を申し出たところ、元は森だった場所だ

ブナの森の再生①

杉を伐った後、そこに何を植えるのかは結構悩ましい問題のようだ。杉の生育の良い場所で搬出もし易ければ、同じ杉を植えるのが普通だろうが、そうでない場合は難しい。杉を植えれば、最初の5年は下刈り、混んで来たら除伐(間引き)などが必要で、間伐をせずに放置したとしても、収穫を期待できるまでに5~60年はかかる

山で働く人の笑顔で育つもの

山で働くことが楽しい、そう急傾斜地の現場で話す男性の動画を見た。新人採用のために制作されたビデオだから良い面が強調されているのは当然だが、登場する先輩の姿も含め、そこには力みのない自然な笑みがあった。私が林業に興味を持った15~6年前は、作業班の古株が現場でヘルメットをつけないので自分も被りにく

時を超えて残るもの

古いものを愛でる。長い時間を経たものに価値を見出す。そこには、一時期人々に忘れ去られ、ある時タイムカプセルのように目の前に現れたものを発見する、という経過が潜んでいることが多い。世界遺産の岩見銀山に近い、島根県大森町がテレビで取り上げられていた。100年前に銀山が閉山してから、町はゴーストタウン

自然への恐れを取り戻す

「都会でしか暮らしたことのない山主さんに、伐採の必要性をわかってもらうのは難しい」最近話を聞いたある森林組合の組合長さんはそう嘆いていた。施業計画を立てて、その区域内の不在村山主に電話をする。村で暮らしたことのある男性は、伐らないとみんなに迷惑がかかるから、いいですよと答える。しかしその後で再度連絡

森林情報のオープン化

不動産は誰にでも情報開示されるのに、森林はなぜそうではないのか。オープン化を目指して森林情報の整備に取り組んだのに、周囲からの猛反対で断念した方の話を興味深く聞いた。資源情報がオープンになれば、誰かが知らないうちに伐採して運び出してしまうかもしれない、それがなくても、自分の財産価値を人に知られたくな

寄せるデジタルの波

森にデジタルの波がヒタヒタと押し寄せている。保守的で新しいやり方に抵抗を示すと言われていた林業に関わる人達が、本格的に変わろうとしているのを感じる。意欲のある人々はとっくの昔から取り組んで成果も出しているが、やらねばと思いつつ手を出せずにいる組織も多い。最近の技術の進歩と、他業界から参入する新興勢力

TOP