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災害備蓄がつなぐ新住宅産業と国産材

国難級の災害による住宅不足に備えるカギは、工業化手法を取り入れ、地域材を活かす小規模なサプライチェーンを全国に沢山作ること。4月8日に発行されたばかりの「新住宅産業論」は、その意義と具体的な手法について、防災・建築・林産業の専門家が同じ志のもとに集結した本だ。タイトルだけ見れば住宅業界の話だろうと思

土地と人を結ぶもの

先日、NHKのDearにっぽんという番組で、成田空港の拡張工事に伴って消滅する集落と、その場所や人々を記録し続けるカメラマンの姿に見入ってしまった。人口70人ほどの千葉県多古町一鍬田(ひとくわだ)地区。農業が盛んで、特に大和芋は日本一と言われ、一年中出荷していたそうだ。そんな集落に滑走路の新設を含む

労働者の現場対応力

家を建てて24年目の昨年は、リビングのエアコン、トイレ、化粧台の水栓、冷蔵庫と住宅設備・家電の交換が相次いだ。その延長で19年使ったテレビが壊れ、先日買い替えをした。一昨年以前に大きな家電の交換をしたのは7~8年前の洗濯機。12年前に同じリビングのエアコンを替えた時も、一人は補助員のような立場ながら

戦後の山に未来を夢見た人々

最近立て続けに、日本の終戦に関わる混乱を扱った番組を見た。東映の昔の白黒映画「日本の一番長い日」、そしてNHKの「昭和の選択 敗戦国日本の決断 マッカーサー「直接軍政」の危機」である。前者は、広島・長崎への原爆投下によってポツダム宣言受諾を決めた天皇と内閣、その決定を不服として最後まで徹底抗戦を主張

あの日の意味を思う

千年に一度の大地震が起きた時、自分がどこで何をしていたか、その事実に何か不思議な縁を感じる人がいると思う。というのは、私自身がその日、会社を休んで林業ビジネスのセミナーに参加していたからだ。当時はまだ有料の林業セミナーに参加する人はごくわずかで、参加者は4~5人だったと記憶している。とてつもなく

建築図面のわからなさ

建築の素養はゼロの私だが、大量の木材を使い、炭素を長期間固定するのは木造住宅なので、少しでも勉強になればとある仕事を引き受けた。AIに深層学習をさせるため、住宅の平面図と立面図を見て、データを抽出する作業だ。平面図ではリビングダイニングや洋室・和室、浴室・トイレ・洗面、玄関・階段・廊下などの範囲を細

森林組合の成長を支えた人

ある森林組合に長く務め、定年を間近に控えた男性の回顧録を読んだ。淡々と記されたその中身の濃さに圧倒され、私はしばらく動くことができなかった。彼は高卒で入った地元の製材所で、鋸の付いた台車に乗り、杉、桧、米松、NZ松、アガジス、ラワン、米栂等、多種多様な材を訳もわからずひたすら挽いた。4年後に縁あ

佐伯・耳川を訪ねる再造林ツアーを終えて(6)

先日、再造林に関するレポートを掲載したが、そこには全国に再造林を広めるヒントが見当たらないとのご指摘を頂いたので、まとめを繰り上げて掲載しようと思う。今回のツアーを通して、自分なりに整理できたことをまとめてみる。① 再造林には地拵えコストの削減が重要② 再造林では柔軟な勤務形態と山造

佐伯・耳川を訪ねる再造林ツアーを終えて(5)

ツアーを振り返って、まず整理しなくてはいけないのは、「再造林」に関わる佐伯と耳川の現状、そしてそれを引き起こしている理由についてだろう。私は今回、ツアーの正式名称を「佐伯・耳川を訪ねて再造林を引き寄せる旅」とした。単に「見る」とか「学ぶ」ではなく、自らが果たす役割を見つけて欲しいという思いを「引き寄

佐伯・耳川を訪ねる再造林ツアーを終えて(4)

ツアー三日目は、日向市内の組合本所に近い、再造林現場を訪問した。仏壇に供えるシキミを生産していた人が、高齢を理由にやめるので、シキミを伐って杉林に戻すという珍しい現場だ。比較的傾斜が緩く、班長以下6人ほどで、残された太い枝をチェーンソーで切断しながら、残滓を盛り上げて畝を作っていた。ここにシカ柵を張

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