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山と施主をつなぐ工場

北千葉にあるモックの大型パネル工場を、林野庁と三県の、合わせて9人の行政官が視察に訪れた。一行は事前に海浜幕張のウッドステーションで、木造大型パネルが情報の集積体であることの説明を受けている。塩地会長が林業や建築の関係者を工場に案内するのは、高性能な建築部材がどれほど小規模な施設で作れるのか、それを

山と建築の再会

昔、村の大工は山で自ら木を選び、伐り出した材で家を建てていた。戦後、木材が海の向こうから運ばれるようになり、大工さんと山の繋がりは切れてしまった。プレカットの普及で手刻みは廃れ、ビニールシートに覆われた現場では、大工さんが何をしているのか、一般の人の目に全く触れなくなった。戦争で伐り尽くされた山の資

生活者と森をつなぐ

森づくりに関わる、ある市民団体ネットワークの設立に関する文章を読んだ。この分野では老舗と言える、立派な活動をしている団体だ。このネットワークには私自身も加入しているのだが、広報誌を見ると、個人会員は250名程度。団体会員も100団体ほどで、会費収入や寄付に加え、各種助成金などを得て運営されているのだ

樹皮を肥料に変える人々

大分県の佐伯市周辺には、樹皮(バーク)を専門に扱う事業者が4社ある。昔より減ったそうだが、樹皮だけを引き取って加工する会社が存在すること自体、この地域の木材生産量がどれほど大きいかを示している。今回、その中の一社を始めて訪問した。バークは産業廃棄物扱いで、以前は無料で引き取ってくれたが、最近は有

苗木生産が拓く林福連携

15㎝×25㎝の黒いビニール片を木製の型枠に置き、培養土をコップで掬ってその上に載せ、押し固めながら巻いて筒状にしたものを、穴の開いた苗木ケースに差し込んでいく。B型作業所の障がい者の方々は、それぞれのペースでゆっくりと丁寧に、黙々と作業を続けていた。私だったら1時間もすればウンザリしそうな単純作業

山造りで生きる

再造林協定で注目される佐伯広域森林組合、その実際の作業現場を始めて訪ねた。夏は下刈りと言って、植えた苗木より早く成長する雑草を刈るのが主な仕事だ、山の斜面から降りてきてヘルメットを脱ぎ、到着した私達を出迎えてくれたのは、驚くほど細身で色白の男性だった。スーツを着て国際空港にいたら、世界を飛び回るビジ

宮崎県の再造林条例

32年連続スギの生産量日本一の宮崎県が、7月2日に再造林条例を公布・施行した。「再造林の理解促進」など4つの基本理念のもと、県・市町村・森林所有者・森林組合・事業者・県民がそれぞれ果たすべき責務や役割を定め、「再造林の推進に向けた気運の醸成」など5つの基本施策を推進するというものだ。宮崎県と言え

静岡県のデジタル森林情報

林業ICTや森林のデジタル情報について調べていくと、全国に幾つか、特に進んでいると言われる地域があり、静岡県はその一つに挙げられる。先日、森林クラウド公開システムについて県の担当者に話を聞く機会があった。静岡県は、平成18年(2006年)から森林簿等の情報公開を行っており、以後18年かけてシステ

木造建築に宿る命

「森林と建築の融合は再造林の責任を共有すること。」先日聴講した大学の授業で教授が語った言葉だ。データ連携によるコスト削減などはむしろ表面的な効果に過ぎず、真の価値は、建築が資源の収奪産業から育成産業に変ることなのだと気づいた。古来、都市は栄えては、周囲の木を伐り尽くし、水を使い尽くしてやがて滅び

競争が高める森林価値

森林組合0円、地元の大手林業会社40万円、小さな林業会社80万円。ある林産地の1ヘクタールあまりの間伐で、山主さんに示された見積書の金額だ。もう十年以上前になるが、小さな会社の社長さんが山主さんから譲り受けたとコピーを見せてくれた。森林組合は、お金は残らないが森林の整備ができますと言い、大手の担当者

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