ツアー三日目は、日向市内の組合本所に近い、再造林現場を訪問した。仏壇に供えるシキミを生産していた人が、高齢を理由にやめるので、シキミを伐って杉林に戻すという珍しい現場だ。比較的傾斜が緩く、班長以下6人ほどで、残された太い枝をチェーンソーで切断しながら、残滓を盛り上げて畝を作っていた。ここにシカ柵を張
佐伯の管内を出て宮崎県に入ると、綺麗に造林された山に交じって、あれ?と違和感を覚える光景が目に飛び込むようになる。再造林されず削られたような山肌、中には業者が置き去りにした原木が散らばり、雨が降って流れ出したら危険だろうと感じる場所もある。佐伯では伐採という行為が再造林可能な範囲内でコントロールされ
再造林ツアーの二日目は、年間37万本を生産する苗木センターの見学から始まった。ここは廃校になった小学校の跡地を利用し、残された体育館の建物を資材置き場・作業場として活用している。作っているのは杉の挿し木苗で、宮崎で開発されたMスターコンテナという製法を採用している。自前での生産に取り組み始めたのは2
「再造林を引き寄せる旅」と銘打って、1月21日から23日にかけ、大分県の佐伯広域森林組合と宮崎県の耳川広域森林組合を訪ねるツアーを実施した。と言っても飛行機やホテルは参加者自身が手配し、大分空港に集合して森林組合の方に迎えに来て頂く方式だ。森林組合への謝礼金や現地の移動費用も参加者負担、補助金は一切
北海道全域が雪の予報なのに、帯広だけは晴れ。朝の天気予報に、日高山脈に守られて太平洋側と区分される十勝の天の恵みを感じた。三年にわたった、林野庁の「新しい林業経営モデル実証事業」の総まとめ時期にあたり、参加企業を視察させて頂くと共に、この事業の実施主体となった協議会の報告会にオブザーバー参加する機会
あれ?ポーチで靴を脱ぎ、玄関から室内に足を踏み入れた瞬間、いつも感じる冷たさがこの家には無いと気づいた。足先から全身を蝕む冷えへの不安が溶けていく。なんて温かいんだろう。視線の先には美しい杉の床板に続き、紀州の木材が現わしで使われた心地よい空間が広がる。壁はモイスという建材で、木目とよくなじむ柔らか
成長という言葉を調べると、生物や物事が発達して大きくなること、とある。心の成長とか経済の成長という言い方もされるが、それらは目に見えないし測り方によっても変わる。成長という言葉の根源的な意味は、やはり生き物が生まれて日々大きく育っていく変化を差すのだと、ある人に教わった。どんな子供でも、大きくなった
母と共に、毎年欠かさない年末の墓参りに行ってきた。父の眠るお墓は箱根から三島へと下る旧同沿いで、富士山を望む山の斜面にある。お盆の時期はあまりの暑さに墓参りを取りやめたので、久しぶりの訪問に、「坂がこんなに急だったっけ」と足の悪い母が難儀している。ゆっくりとだが確実に衰える母の姿に、いつまで一人暮ら
地形、地質、水路などの農業施設、消火栓の位置など、「人々が山村で生きていくために必要な情報」の共有と伝達を支援する、そのための地図を作っていますとその人は語った。戸田堅一郎氏、元長野県職員で、航空レーザデータの標高値から傾斜角と曲率を計算し、異なる色調で重ね合わせて地形判読を用意にした「CS立体図」
熊本県立南陵高等学校の演習林を訪ねた。この高校には林業専攻のコースがあり、毎年10人前後の学生がここで森林整備や林業経営の基礎を学んでいる。演習林に着くと、若い教諭と二人の高校生が緊張の混じる笑顔で迎えてくれた。彼らがワークショップで参加者と共に作った木製のカメラの玩具をプレゼントされるというサプラ