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日本の林業とFSCの過去と未来

2024年11月29日、赤坂でFSCの創立30周年記念イベントが開催された。2012年から今年の9月までFSCの事務局長を務めたキム・カールステンセン氏が挨拶され、パネルディスカッションにも参加されたので、参加者には同時通訳の受信機が配られた。FSC設立の経緯が当時の関係者からビデオメッセージで語ら

樹木に刻まれた朝のリレー

朝のリレーという大好きな詩を書かれた、谷川俊太郎さんが亡くなった。「カムチャッカの若者がきりんの夢を見ているとき」、で始まる有名な詩は、「それはあなたの送った朝を、誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ」と結ばれる。朝起きて、一日を生き、眠りについただけで、とても重要な仕事をしたのだと思わせてくれる。

火と水の国の林業

水田で米を作らず、湛水するだけでお金がもらえる、そんな状況を取材した記事が朝日新聞に連載されていた。熊本はもともと水の豊富な市で、70万人超の人口を支える水道水が全て地下水でまかなわれている、世界でも稀有な都市だそうだ。しかしその水の不足が心配されるほどの巨大な需要者が、市に隣接する菊陽町に工場を建

蛹(さなぎ)の苦闘

木造アパートの建設ラッシュ、私の住んでいる千葉県の都市部では、そう表現するしかない現象が起きている。この4月以降、自宅から徒歩5分圏内に、3棟もの在来木造三階建て集合住宅が着工した。手掛けたのはそれぞれ別の工務店で、関連は無いようだ。一棟はもう完成し、入居が始まっている。もう一棟は7~8割方工事が進

時を遡る船

少し前、法隆寺の古材が国宝に追加指定されたという新聞記事を読んだ。昭和の修理で再使用されなかった部材や、火事で焼け焦げた天井板など、その数は3,000点を超える。奈良文化財研究所などが中心となり、60年もかけて詳細を調査したそうだ。使われなかった材とは、腐ったりヒビが入ったりして建築材料として不適格

森林組合の多様性

森林組合は全国に607組織あって、それを束ねる全国森林組合連合会によると、2023年3月時点で所属する組合員の数は147万人、組合員や組合自体が所有する森林は1,047万ヘクタール、そして670万m3の木材を生産している。面積は全国の森林の約42%、そして2023年の国内の素材生産量が2,293万m

夏草の行方

彼岸を過ぎてなお異常な高温が続く秋、そんな中でも街路樹は色付き始め、金木製の香りが街に漂う。空き地を占領して伸び放題に繁った雑草も、黄色く変色して種をまき散らし、折り重なるように枯れたものが目に付くようになった。自宅近くの狭い歩道に接する家には、フェンスの外側に幅80㎝くらいの敷地があり、その家

森の入り口

天城峠を超えた先には、太平洋に面した伊豆の海が広がる。夏日の翌日にいきなり秋雨に見舞われた先週、母の米寿のお祝いにと、娘三人で海辺のホテルのスイートを奮発した。長年の立ち仕事で膝を傷め、ゆっくりとしか歩けない母は、大浴場には行かず、広々と海を臨める部屋の露天風呂を満喫した。これまで、母にとって浴場ま

変わりゆくものの中で

先日、千葉の女性林業家の集い「さんぶ木楽会」の仲間と一泊のバス旅行をした。木楽会は小規模ながら15年以上活動を続ける団体だが、中心メンバーが後期高齢者ということもあり、ホームページもなければSNSでの発信もしていない。地場の木を自分達の手で少しでも活用しようと、コースターや箸、カスタネットその他の木

街路樹と人口林

街路樹が伐られ、まだ瑞々しい切り株が、そこに樹木があったことをかろうじて思い出させる。最近そんな事が増えてきたように思う。銀杏の重さでイチョウの枝が折れ、下を通りかかった人が亡くなる事故も起きた。樹木にも寿命があり、いつかは枯れて朽ちる事が、一般の人々に知られ、受け入れられていくのは、ある意味良いこ

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