再造林費用への税金投入をどう捉えるべきか、考えさせられる出来事があった。埼玉のある製材工場で働く方と話していて、日本の低い再造林率(3割程度)を嘆いた私の発言に対し、その方はこう言ったのだ。「私達も以前からずっと、成長した木は伐って使い、新たに植えて更新していくべきだと言ってきたんです。でも再造林に
木材は広域に流通していて、外材という言葉を一般の人も知っているくらい、遠方から運ばれるものだという認識が一般的だ。但し普通の消費者は木材の値段が高いと思っているから違和感を持たないが、この業界のことをちょっとかじってみると、こんなに重くて嵩張り、しかも値段の安いものをどうして遠くまで運ぶのだろうと不
平成2年(1990年)、スギ中丸太の平均価格は現在の倍近い3万円前後だった。バブル崩壊に始まった日本のデフレ時代、丸太価格は長期にわたって下落し、戦後に植えられた人工林がせっかく収穫の時期を迎えたというのに、建築に使われる木材の多くは外材を中心とした商流で固められ、森林組合の多くは補助金をもらって森
先端技術を活用して森林資源と建築を直結させ、地域の木造需要を地域材で賄う。産業と言える一定の規模を持ち、地域の経済を潤すと共にその地域の森林が健全に保たれる状況を作る。それが私の考える森林直販だ。今はまだ、これこそ森林直販だと思える事例に出会っていないが、近いところまで来ている例は沢山ある。今回はそ
裏山の木を在庫にし、AIを活用した建築サービスで地域の建築需要を先行受注、予約内容に合わせた効率的な伐採・造材・加工で木材の価値を極限まで高め、近接した工場内で住宅の躯体を構成するパネルにまで組み上げて更に付加価値を付け、工務店やビルダーに供給する、それが私の考える森林直販だ。先週書いた文章へのコメ
山側が自ら手掛ける森林直販によって、木材の価値を最大化できる、住宅資金が域内に循環し、地域の経済が潤うと、私は訴え続けている。しかし、その中身が理解されないのは、やはり私の説明が不足しているからなのだろう。特に、各地でいわゆる産直住宅を手掛けてこられた方の中には、自分達はずっとやってきたという思いが
最近話題になっている本を読んだ。「世界秩序が変わる時-新自由主義からのゲームチェンジー」筆者の齋藤ジン氏は都市銀行に勤めていて仕事に疑問を持ち、バブル崩壊後にアメリカに渡ってヘッジファンド向けに情報提供する会社の共同経営者となり、大きな経済の転換点を何度も言い当ててファンドオーナーに巨額の富をもたら
一般社団法人日本森林技術協会の2024年度の助成事業に採択され、林業ICTに関する全体像を知りたいと調査した内容をまとめた報告が、「森林技術」の8月号に掲載されました。SNS当への転載が可能になりましたので、内容を公開いたします。研究者から見れば十分な調査・分析とは到底言えないかもしれませんが、あく
岡山県美作市の右手(うて)地区という場所を訪問する機会があった。ミツマタの産地で、「局納ミツマタ」といい、造幣局に納入していた時期もあったらしい。古くから木地師の里としても知られ、今も伝統を受け継ぐ人が細々と活動している。清流を利用したアマゴやニジマスの養殖場があり、林業遺産に指定された「水車製材」
先週、再造林費用を製材品1m3当りで割り返すとどのような結果が出るのか、という試算に関する勉強会があった。再造林とは、一定面積の人工林を全て伐採した後、跡地を地ならしし、地域によってはシカに食べられないよう周囲に高い柵を張り巡らせ、苗木を植えて、5年ほどの間は雑草に負けないよう夏に草刈りを行うな