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佐伯広域森林組合が育む希望の苗木

先日、「森林直販ツアー」と銘打って、大分県の佐伯広域森林組合を訪れるツアーを開催した。定員は20名としたが、参加希望者が相次ぎ、最終的には26名もの方に参加頂いた。通常の視察は組合本所や工場を巡って説明を聞くのが一般的だが、今回はそれだけでなく、座学では「佐伯型循環林業」、「製材品1m3あたりの再造

真の二項対立は何か

先週、先々週と、再造林について書いた私の文章に対し、ジャーナリストの赤堀氏に厳しいご意見を頂いた。いずれも、文章で言いたかった本筋のテーマに対してというより、再造林の推進に伴う弊害や、間伐を続ける立派な林家さんの存在を忘れて欲しくないという内容だ。赤堀氏は少数者の声を拾い、その主張は心ある人々に

日本の森を守るには

先週、再造林とその公的支援について書いたところ、思いの他多くの方々からご意見を頂いた。私自身は、税金投入への疑問から再造林を躊躇することが、感覚としては健全ながら、国土保全の重要性を考えればやはり実施していくべきでは、という主旨の発言をしたつもりなのだが、中には私が間伐の継続を否定し、皆伐を推進して

林業と税金

再造林費用への税金投入をどう捉えるべきか、考えさせられる出来事があった。埼玉のある製材工場で働く方と話していて、日本の低い再造林率(3割程度)を嘆いた私の発言に対し、その方はこう言ったのだ。「私達も以前からずっと、成長した木は伐って使い、新たに植えて更新していくべきだと言ってきたんです。でも再造林に

木材の広域流通と地産地消

木材は広域に流通していて、外材という言葉を一般の人も知っているくらい、遠方から運ばれるものだという認識が一般的だ。但し普通の消費者は木材の値段が高いと思っているから違和感を持たないが、この業界のことをちょっとかじってみると、こんなに重くて嵩張り、しかも値段の安いものをどうして遠くまで運ぶのだろうと不

未来の森林組合

平成2年(1990年)、スギ中丸太の平均価格は現在の倍近い3万円前後だった。バブル崩壊に始まった日本のデフレ時代、丸太価格は長期にわたって下落し、戦後に植えられた人工林がせっかく収穫の時期を迎えたというのに、建築に使われる木材の多くは外材を中心とした商流で固められ、森林組合の多くは補助金をもらって森

森林直販の類型

先端技術を活用して森林資源と建築を直結させ、地域の木造需要を地域材で賄う。産業と言える一定の規模を持ち、地域の経済を潤すと共にその地域の森林が健全に保たれる状況を作る。それが私の考える森林直販だ。今はまだ、これこそ森林直販だと思える事例に出会っていないが、近いところまで来ている例は沢山ある。今回はそ

森林直販の担い手を考える

裏山の木を在庫にし、AIを活用した建築サービスで地域の建築需要を先行受注、予約内容に合わせた効率的な伐採・造材・加工で木材の価値を極限まで高め、近接した工場内で住宅の躯体を構成するパネルにまで組み上げて更に付加価値を付け、工務店やビルダーに供給する、それが私の考える森林直販だ。先週書いた文章へのコメ

森林直販と産直住宅の違い

山側が自ら手掛ける森林直販によって、木材の価値を最大化できる、住宅資金が域内に循環し、地域の経済が潤うと、私は訴え続けている。しかし、その中身が理解されないのは、やはり私の説明が不足しているからなのだろう。特に、各地でいわゆる産直住宅を手掛けてこられた方の中には、自分達はずっとやってきたという思いが

日本人が森を見捨てた30年

最近話題になっている本を読んだ。「世界秩序が変わる時-新自由主義からのゲームチェンジー」筆者の齋藤ジン氏は都市銀行に勤めていて仕事に疑問を持ち、バブル崩壊後にアメリカに渡ってヘッジファンド向けに情報提供する会社の共同経営者となり、大きな経済の転換点を何度も言い当ててファンドオーナーに巨額の富をもたら

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