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命の順送り

今年89歳になる母は、膝を痛めていてゆっくりとしか歩けない。それでもかつて参加していたグラウンドゴルフの仲間から声をかけられ、スナックでのカラオケや温泉旅行によく出かける。町のシニアの集まりでカラオケの講師を10年務め、先日勇退したばかりだ。何人ものお百姓さんからしょっちゅう野菜を頂き、近所にはお惣

森林組合が作る木造建築

農家が自ら育てた野菜や果実を使い、ジャムやジュースを作る、レストランで料理として提供するなど、付加価値を高めて販売する試みは沢山ある。しかし、林業事業者が育てた木を使って最終製品まで作るという事例は少なく、あっても木のコースターやカトラリーなどの木工品、木材を組み合わせた什器などがほとんどだ。木材の

WOODx研究会に見る森林と建築の関係の変化

WOODx研究会は2022年10月1日に発足した任意団体で、ほぼ月に一回のペースで開催する会議は8月で31回を数える。大手ゼネコンが提供する、末尾が大文字のWOODXというアプリがあるようだが、それとはまったく無関係の別組織だ。会則には、「本会は、オープンイノベーションにより、国産材利用の中心と

佐伯の再造林を支えるもの

製材品1m3あたりの再造林費用が、佐伯は他の地域に比べて非常に低い金額に抑えられているようだ。しかし、1㏊当たりの再造林費用は決して安い訳では無く、むしろ全国平均(R6年度の林業白書によれば295万円)を上回る。防鹿柵の資材などは大量に仕入れることでコストを下げているものの、ネットは防弾チョッキに使

再造林費用の真実

一定面積の木を全て伐採した後、跡地に苗木を植えて、ちゃんと森に戻るように周囲の草刈りをするなど、5年くらい面倒を看る仕事を再造林と言う。令和6年度の林業白書を見ると、その費用は1㏊当たり凡そ300万円、そのうちの7~9割(地域や条件によって異なる)は補助金が出るが、残りは所有者が負担する。しかし原木

縮小する国の未来デザイン

参議院議員の任期は6年。それは本来、目先の物事にとらわれず長期的な課題に取り組むための制度だと思うが、今回の選挙では、本当にこの国に必要な議論がなされたようには思えなかった。人口の激減、全国的なインフラの劣化という確実にやって来る未来を踏まえて、その変化にどのように適応していくのかというグランドデザ

国土を守る山仕事

都市部での暮らしは、田舎に住む人達の仕事にただ乗りしてはいないだろうか?参院選も近い中、そんな事を考えている。都市の快適な暮らしは、地方の食料生産に加え、水源や発送電設備・物流インフラの維持によって成り立っている。沿岸地域には国境管理という役割もあり、そこに人が住んでいてくれるだけでありがた

森の力との連携

日本の植物の成長力は凄まじい。近所の庭を丈高い雑草が覆っている。春先には綺麗に片付いていた場所は、わずか数か月で人を寄せ付けない草の楽園と化した。適度な雨量に季節外れの強烈な日射し。再び刈られる前に実をつけて熟成させ、周囲に蒔き散らそうと狂奔する草の勢いは、見ていて胸苦しさを覚えるほどだ。

地球温暖化を乗り越える

例年なら梅雨空のもと雨が降り続く時期に、連日35度前後の猛暑が続く。ここ数年の夏の暑さは明らかにこれまでの人生で経験してきたものとは異質だと感じる。地球温暖化を実感せずにいられない状況なのに、この事実を嘘だとか陰謀だと断じる人々の声が、最近確実に勢いを増しているらしい。その代表格がトランプ大統領で、

日本人と時間を巡る話

最近、私の目や耳には、日本列島や日本人と時間に関する情報が良く飛び込んでくる。新聞・テレビ・ネットの膨大なデータの海から拾い上げるのだから、脳の感度が余程その分野に敏感になっているのだろう。先週まで5回続けたブログは、「火山と断層から見えた神社のはじまり」(双葉文庫 蒲池明弘著)に出会って引き込

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