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働く人自身が作るシステムの価値

 ひと昔前、務めていた会社でシステム開発に関わっていた時期がある。こちらが必要とする機能をシステムベンダーに正確に伝えるための「要件定義」という作業に、とんでもなく長い時間と人手、労力を費やした。私達と密に打合せしながら実際にプログラムを書いているのは下請け会社の人なのに、期待どおりに進まないのは「

読書の秋に想う

 最近、以前よりよく本を読んでいる。通勤してフルタイムで働いていた頃に比べれば、在宅で自分のペースで働く今は格段に時間の余裕があるからだ。知識はAIに聞けばすぐ教えてくれるし、YouTubeには細かい分野ごとに専門家が語る動画が溢れていて、それを見る方が遥かに効率的に情報収集できるという人もいる。け

物語の力

 人は皆、何かの物語を信じて生きている。キリスト教徒ならイエス・キリストの物語、物理学者なら物質を構成する粒子やニュートリノの物語、親を尊敬する人は幼い頃から聞かされたその教えを。 本屋大賞を受賞した浅井リョウの「インザメガチャーチ」を読んだのは、書評で紹介されていた、「神がいないこの国で人を操

アダムスミスが真に目指した経済へ

 今年はアダムスミスの「国富論」(正確には「諸国民の富」)の出版250年だそうだ。私は以前「共感の思想史」(坂本達哉著 岩波新書)という本を読み、アダムスミスという人は、自分の意図を後世に正しく伝えることに失敗したのでは、という考えを抱いていた。スミスは36歳の時に「共感」と「公平な観察者」を基礎に

クマと共に生きる道

 日本の森林は野生生物の楽園になっていて、増え過ぎたシカやイノシシと同じように、森からあふれ出たクマが人里に現れている、一般に報道されているように、私もずっとそう思っていた。しかし実態は全く違う事を強く示唆する本に出合った。金井塚務著「奥山を捨てたクマ―大量出没の謎を解く」読んでみると、今起きている

佐伯の山に見る「木を植える責任」

 来月末、佐伯広域森林組合を訪ねるツアーを実施する。毎年少しずつ内容を変えながら、今年で三回目だ。 初年度は東大名誉教授の酒井先生に団長をお願いし、再造林を極めるツアーとして、佐伯に加え、県境を接する耳川を巡った。どちらも立派な森林組合だが、取り組み方は、すぐ隣なのにこれほど違うのかと驚くばかり

クスノキの雄姿

 クスノキは関東以南の太平洋側を中心とする暖地に自生する常緑広葉樹で、台湾や中国南部、ベトナムにも分布しているそうだ。千葉では街路樹として植えられることが多く、日常的に目にする木だ。日本書紀にはスサノオノミコトが眉からクスノキを作り、髭から作ったスギと共に、これで船を作れと命じたと書かれている。分布

未来を拓く意思

 日本の森林には、激変する日本の社会を支え蘇らせる力がある、私はそう信じて発信を続けている。それは直感であると同時に、そうすることが同じ志や必要な技術を持つ人々を呼び寄せて化学反応を促し、実現可能性を高めるからだ。逆に森林の可能性を信じない事には何の利点も無いと思っている。そんな私を大いに後押しして

人の道のその先へ

 人は原生林にいきなり踏み込むことはできない。大抵は獣たちが通った踏み跡、獣道をたよりに歩を進める。最初は屈強な人間しか通ることのできなかった道は、次第に幅を広げ、いつしか車に乗って最も弱い人間も通行できるようになる。 夏休みが終わりに近づくと子供の不登校が話題になる。最近では35万人の児童

木材価格が最も高かった時

 林業がなぜ衰退産業になったのか、戦後の日本の森に起きたことを、私はずっと少しずつ考えてきた。研究するというほど大げさでも深くもない。それでも私は、時代背景や原因、あるいは何がきっかけでそうなったのかを知りたいと思ってきた。 日本の森(山元立木価格)も製材品の価格も最も高かった1980年、その時

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