文月ブログ

森を巡る旅-林業寺子屋その2「藤森隆郎先生との出会い」

岐阜の林業Iターンミーティングで、私は今でも師と仰ぐ方に出会う事ができました。それが森林生態学の藤森隆郎先生です。
先生は、気候変動枠組み条約政府間パネル(IPCC)の委員をされ、議長から表彰されたほどの専門家でありながら、地域での小規模なイベントの講師を引き受け、素人相手にも大変分かりやすい説明をして下さいました。林業にも森林生態学の視点を取り入れるべきだというのは、少なくとも民間事業者にとっては斬新な考え方でしたし、現在も実践するのは難しいのが実状です。Iターンミーティングの主催者は、マスメディアから林業界に飛び込んだ異色の経歴を持つ人でした。森林組合の古い体質をはっきり批判するなど反発も受けていましたが、林業の現場指導者育成手法の確立や、藤森先生に学ぼうとする試みは慧眼であったと思います。
講座を聞いて深く感銘を受けた私は、その場で先生の本を二冊購入し、自宅に戻ってから夢中で読み通しました。そこで得た知識や抱いた思いが、その後もずっと、森を巡る旅を続ける上での精神の土台になったと思っています。
その後も、他の団体が主催するセミナーで先生の講演を聞く機会がありましたが、穏やかな物腰に秘めた強い意志と情熱は、多くの人の心を掴むものでした。
先生はきっと、林業従事者との直接の交流などを通して、日本の森林の維持管理に、林業の果たす役割の大きさをずっと考えて来られたのでしょう。2016年に「林業が作る日本の森林」という本を出版されました。その書名に込められた思いを実現するためにも、私は努力を続けていきます。

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