文月ブログ

森を巡る旅-速水林業の林業塾その1「運命の出会い」

2007年7月に家づくり体験塾を修了した後、私の関心は建築よりも森林・林業に傾いていました。日本中にこれほど森があるのに、どうして住宅のほとんどが外材で建てられるのだろう、その疑問が頭を離れなかったのです。
そんな中、書店で一冊の本に出会います。速水林業の現社長、速水亨氏の御父上、速水勉氏の書かれた本でした。それを読んで感銘を受け、速水林業のホームページを覗いてみると、9月1日から5日間の日程で、林業塾が開講されるとありました。
ここでまた私は、雷に打たれたように、行くしかないと決意しました。しかし当時の仕事は経理業務で、決算月でないとは言え、月初めに丸々5日間休むというのは普通では考えられないことです。それを上司に掛け合い、周囲に頼み込み、事前準備を重ねて実現しました。あまりの熱意に、周りの人々は止めても無駄と諦めてくれたのだろうと思います。
そして向かった尾鷲の地で、私はその後もずっと関わることになる多くの師に出会いました。速水社長や、東大の白石先生、西粟倉村で活躍されている牧大介氏などです。そして、そこで見聞きしたことにより、私の人生は大きく変わりました。
林業塾のカリキュラムは、日本や世界の森林・林業に関する座学、そして速水林業の美しい森でのフィールドワークが中心です。大多賀の山林には天を突き刺すような檜が並び、地表は丈高いシダに覆われていました。参加者は学生と社会人、男女、若年層から中高齢者まで、様々な人達が集まっていて、夜は釣り客向けの宿に泊まり、交わされる専門的な話に遅くまで耳を傾けました。京都大学で林学を学んだ牧さんが、ここでの5日間は大学の4年の学びより内容が濃いと言うほど、充実した内容でしたが、当時の私がどこまでそれを自分の物にできたのかは疑問です。
それでも、林業塾での経験は私に「日本の森林・林業再生のために何かしなくては」という強い使命感を植え付けました。この林業塾で人生が変わった人は少なくないと聞きますが、私も紛れもなくその一人だったのです。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP