山形県内の、前回とは別の森林組合の方にお話を伺った。管理面積は約12,000ha、組合員は6,600名という小口所有者の多い組合だ。山仕事に携わる人員は30名だが、年間の出材量は10,000㎥前後とそれほど多くは無い。聞けば、海岸の黒松林に松くい虫被害が多く、1月~6月の半年間は市町村からの委託で虫害木の伐採・搬出に追われるのだそうだ。処理した木はバイオマス発電所に販売するが、売上は松くい虫対策の事業費から差し引かれ、利益になる訳ではない。
管理区域の東側にある杉林を手入れできるのはGW明けから12月頃まで。年間およそ80haを利用間伐し、60年生の杉を搬出している。皆伐再造林はごくわずかで、所有者さんが自己負担をしてまで再び山を一から育てる気が無いというのが大きな理由のようだ。九州などと違って成長が緩やかなので、60年で間伐した山がすぐに太る訳ではなく、まだ置いておけるという事情もあるだろう。
山が細かく分かれているのは、集落ごとの持ち山を個人に分配したからだが、引っ越して別の場所に移る場合は山を同じ集落の人に引き継ぐというルールが有ったり無かったり、今では売りたい人が多くても買いたい人は一人もいない状況で、この先どうなっていくのかという不安はつきまとう。
それでも、山の風倒木などを自前で伐って組合に持ち込めば買い取るという「軽トラ林業」を推進したり、組合員自ら行う刈払い作業に助成金を出したりと、所有者の参加意識を高める工夫・努力をしているのが心に残った。
同じ県内でも、森林組合の姿はこうも違う。地域ごとの事情に適応する方法を広く共有し、地域の山を守り続けて欲しいと改めて思う。
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