自宅のテレビのリモコンがBSから地上波に切り替わらなくなった。契約している会社のアプリを開き、「お困りごと」の項目で解決法がないか探してみたが、BS/CSが見られないという項目はあっても、地上波に戻せないという事例はない。それでチャットボットによる相談、というボタンを押してみる。するとこちらが文字を打ち込んでいるうちに、すぐさま「ご利用ありがとうございます。担当の○○です。」というメッセージが表示される。状況を伝えると、真っ先に「ご不便をおかけして申し訳ありません。」とクレーム対応の基本動作が返って来た。その上で、リモコンの問題なのか、チューナー自体の故障かを調べるために、いくつか操作をして欲しいと指示される。それも、複数ある機器の中から、自宅に設置されたチューナーの型式に合わせた操作手順がパパっと出てくる。二回リセットしても解決しないのでチューナーを交換することになったが、ここでも予約可能な日時が一瞬で表示され、併せて訪問に関する注意事項の案内が示される。翌日の朝に来てもらう予約をし、迅速・丁寧な対応にお礼のメッセージを送ってチャットを終了した。先ほど来たサービスマンも感じ良く、30分程度でチューナーを交換し、私がタブレットに完了確認のサインをすると、テレビのリモコン程度の大きさの携帯用プリンターでそのサイン入が入った作業報告書お客様控えを印刷して帰っていった。機器の故障は苦々しいが、対応がここまでスムーズだと、お見事!と言いたくなる。
チャットボットによる相談はノウハウが積み上げられた無駄の無いもので、電話よりはるかに効率的だ。これは全国どこにいても恩恵を受けられる。しかし、サービスマンが翌日すぐに来てくれるというのは、契約者の多い都市部に住んでいるからだろう。事業者は効率の良い地域にサービスを集中させる。地方に移住するのは、多くの分野でこのようなサービスの質の低下を甘受することと同義なのかもしれない。田舎暮らしの実態を肌感覚で想像すると、人が都市部に流れるのは当然という仕組みが見える。人口が減れば鉄道が廃線になり、不便さから益々人が住まなくなる。そういった負の連鎖は強固で、人口が少なくても安定して維持される暮らしを作っていくには、新しいアプローチが必要だ。
地方に住みたいと思わせる魅力、自然の豊かさに加え、その一つは何かワクワクする仕事、従来の社会を変えるような挑戦ではないだろうか。林業はそれを実現する潜在力に満ちている。種が表土から芽吹き、大きく枝葉を広げて成長する過程に、是非立ち会いたいと思う。
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