文月ブログ

春の訪れとスズランの影

通勤途中の道の端に、だれが植えたのか、毎年この時期にスズランが可憐な花をつける。咲いている期間は一週間程度と短いが、心に強い印象を残す。

毒があると聞いたことがあり、ネットで調べると、やはり全草に毒を持ち、特に花や根の部分は取扱注意とのこと。

動物に食べられてしまわないように、毒で身を守っているのだろう。

 

昔の知人で、植物は一般にそのような毒を持っているもので、人間がまだ知らない成分もあるのだとして、加熱しない野菜は一切食べないという人がいた。

キャベツの千切りに箸をつけようとしない彼を仲間は呆れた目で見たが、私を含め、決して笑うことはしなかった。

自然の奥深さを知り、その魅力を伝える国立公園のパークボランティア活動を共にしていた仲間なので、人に無理強いする訳でもなく、未知の脅威に対する謙虚さを貫こうとする彼の姿勢に、一定の理解と尊重を示したのだと思う。

 

植物も樹木も人間も、生き残るために何かしら暗い部分を宿している。

風に揺れる小さな花に、植物の持つ精一杯の抵抗を感じた春の日。

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