文月ブログ

林業ICTの行方

林業ICTは利益につながりにくい。そんな話を続けて二人の林業関係者からお聞きした。農業で言えばハウス内の温湿度管理や、連動した給水・施肥の自動化。漁業なら天候や海流のデータを活かした魚群探知機の導入、それらはすぐに収益増につながり、投資を回収しやすい。林業は、高性能林業機械のような機械化までは効果がすぐに出るが、資源調査やそれに基づく施業の実施などは、かける労力の割に収益が上がる訳ではないようだ。
自分の山を持っていて、それを長期的に管理する経営体の場合は、使い方によって資源の価値を向上させたり、木材の販売価格を上げたりすることが十分可能だろう。しかし、所有者が細かく分かれる山を管理する森林組合は、ここを伐りたいと思っても、そこに至る道筋を含む所有者の同意が必要で、中々理想どおりにはいかない。
最近は森林環境譲与税を使い、市町村が全域の航空レーザデータを取得・解析する事例も増えているようだ。しかし、それをどう生かすのかに関しては、個人情報保護も踏まえた公開範囲などの検討に時間を要し、見通しが立たないという声も聞いた。簡単にオープンにすると盗伐を誘発しかねず、人知れず伐られて丸太になってしまえば、その違法性をチェックする術が無いからだ。
恐らく、伐採から消費者に届くまでの長いサプライチェーンが、部分的なICT化の効力を消してしまうのだろう。それを変えるには、いつどこで伐られたのか、森林の維持が担保されているかが明確な木材に高い値がつく、あるいは優先的に買われていくように、調達側の姿勢が変わることが大きな追い風になる。建築と林業が互いを良く知り、最短で手を結ぼうとする先に、林業が先端産業になる道があるような気がする。

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