文月ブログ

再造林に苦心する山の守り手

伐ることは機械化できて儲かるが、植えて育てることはずっと難しい。特に、植えることよりもその後の世話の方が遥かに大変だ。ウッドショックで木材の価格が急騰した時も、簡単に生産量を増やせなかった理由の一つは、伐った後の再造林の目途が立たないからだ。
昨年300haに植栽を行ったというある森林組合では、それ以前に造林した区域と合わせて、1,600haもの下刈りをする必要があった。組合の造林班30名では到底追いつかず、請負業者に頼んで刈ったそうだ。まだ小さな苗木が雑草に覆われて枯れないように、真夏に遮るものの無い山腹で草刈り機を扱うのがいかに過酷か、誰でも想像できるだろう。
この森林組合の地域では、6年間下刈り補助が出るという。それだけ草の繁殖力が旺盛なのだ。伐採量を増やせば保育が必要な面積は更に増えるので、真面目に再造林に取り組む組織ほど、人手の確保に苦労するのは目に見えている。
下刈りロボットも開発され、実用化されつつあるが、傾斜の緩い場所でしか使えないようだ。きつい急傾斜地だけ人間に頼むとなれば、引き受け手が誰もいなくなってしまう。造林業者自らがロボットを導入すれば良いのかもしれないが、初期投資が不要でそこそこの利益が出るというのが造林請負のメリットなので、正直難しい。
成長の早いエリートツリーで下刈りの回数を減らせないかなど、組合も様々な試みを重ねているが、効果の見極めに年数がかかり、本格導入から成果が出るのは更に先になる。人口減少の加速に花粉症対策の伐採圧力が加わりそうな今、山で働く人達が何とか守ってきたバランスが崩れることが無いように、祈るような気持ちで見守っている。

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