特急南風に乗って高知を後にし、瀬戸大橋を渡って岡山へ。新幹線に乗り換えて家路はまだ遠いけれど、心地よい疲労感に包まれながらこれを書いている。年に一度、各地を巡って開催されている自称フォレスターの集まりは、今年も大きな学びと再会の喜び、自分を叱咤する刺激を与えてくれた。
参加者は開催地に来る前に、4回にわたる事前セミナーを視聴し、この町の取り組みを学んでいる。人口が減り高齢化が進む地方の町で、豊富な森林資源をどう活用し、住民の暮らしに彩(いろどり)を加え、更に未来に繋げていけるのか、私たちはグループに分かれてそんな課題に取り組んだ。水の恵みを生み出す湿った山と、宿泊施設に隣接して登りやすい乾いた山、タイプの異なる二つの森を歩き、整備や活用方法のアイディアを話し合う。まとめられたその結果は、役場を挙げて歓迎してくれたこの町の人々への実践的なアドバイス、貴重なプレゼントになったと思う。フォレスターの定義を敢えて広げ、専門家以外にも森に関わる志のある人を対象にしているからこそ、短時間でも多様で深みのある提言ができたのだろう。
とは言え、やはり実践者の言葉は重い。彼らの思考や行動は、林政アドバイザーなどの仕事を通じて森と人の関わり方を確実に変えつつある。私はそれをどう伝えたら、流れを後押しできるのだろう。背負ったリュックが重いのは、たっぷり汗を吸った衣類のせいだけではないようだ。
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