家づくり体験塾のカリキュラムは多方面にわたっており、木造軸組住宅の構造や部材の名称、木材に関する事や、左官や畳、設備についても広く学びました。
そこで印象に残っているのが、木材業界では広く知られた、杉・檜・外材を露地に固定し、経年変化を観察した実験です。簡単に言ってしまえば、杉・檜に比べ、外材は腐食の進み方が早いという結果を表すものでした。にもかかわらず、住宅に使われる木材のほとんどは海外から輸入されたものだという説明に、大きな憤りを感じたのを覚えています。
実際には木材を雨ざらしで放置するような使い方はしませんし、現在ではその結果を必ずしも鵜呑みにして良いとは思っていません。しかし、日本の夏は高温多湿、冬は低温乾燥なのに、欧米の木材産地の多くは、夏は高温乾燥、冬は低温湿潤です。少なくとも、気候が真逆の地域で育った材よりは、地元の木材を使う方が理に適っているだろうというのは、誰しもが抱く思いでしょう。
一例ですが、体験塾の参加者の中に、北欧産の木材を使ったログハウスを建てた方がいました。最初は真っ白だった家が、わずか数年で黒っぽく変色し、あちこちに傷みが出始めたそうです。その方は家を自ら補修するために、技術を学ぼうと参加していたのです。
外材の方が安いから使われるのだと、当時は単純に思っていました。決して価格だけの問題ではないことを、その後の経験で学びましたが、現在でも多くの人がそう考えています。
木材の性質としての強度の違いや、杉・檜に含まれる水分の多さなど、国産材が不利な面は確かにありますが、遠い場所から運ぶのではなく、できれば地元の木を使いたい、そのために何か貢献できないかという思いは、その頃から変わっていません。
文月ブログ
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