文月ブログ

森と生きるために-JAPIC森林再生事業委員会

2022年8月26日、ウッドステーションの塩地会長がJAPICの森林再生事業化委員会で講演され、私はその助手としてオブザーバー参加しました。
JAPICの正式名称は「一般社団法人 日本プロジェクト産業協議会」といい、日本の様々な産業において重要な地位を占める企業が数多く参加しています。(所属企業は、令和4年7月の時点で、正会員132、賛助会員62、アライアンス会員32の226社)ホームページには、「JAPICは、民間諸産業による業際的協力と産官学民の交流を通じて叡智を結集し、(途中省略)国家的諸課題の解決に寄与し、日本の明るい未来を創生することを目的とします。」とあります。具体的な事業として、設置された11の委員会・研究会に関連企業が参加し、そこで討議された内容をまとめ、各省庁に対し政策提言を行っています。
今回、塩地会長は、「森林再生事業化委員会」に招かれ、「大型パネルがつなぐ森と建築」というテーマで講演しました。20分という短い時間でしたので、大型パネルが森と建築をつなぐハブになり、それによって森林の価値を上げることができる、という主旨がどこまで委員の方々に伝わったかは正直なところよくわかりません。この委員会に参加していたのは、建設業、建機、航空測量、商事会社などが中心で、中小零細の多い純粋な林業・木材業の会社は入っていませんし、各委員が必ずしも森林・林業全般に詳しい訳ではなさそうです。各企業は自社の関わる分野を中心に、技術開発や市場拡大につながる提言を打ち出し、それが委員会の目的や他の産業の利益を損なわないように、横にらみで調整しているように感じました。もちろん、企業は何も知らなければ自社の利益を追い求めるので、事業活動が社会的な課題解決の方向にマッチするよう、このような場を通じて摺り合わせるのは悪いことではありません。しかし、利害のぶつかる業界・企業が多数参加していると、全体の意見を取り入れる最大公約数は小さなものにならざるを得ないのではとも思います。
そんな難しさを抱えながら、全体の整合性を保って政策提言をまとめ上げる委員長の酒井先生は、聖徳太子か、はたまたAIかと思える能力をお持ちです。各企業の業務内容や、どの分野で提言に関わる活動をしているかを熟知し、不慣れな委員の質問にも内容を整理して答えるなど、穏やかで柔軟性に富んだ議事進行が印象的でした。
政府や省庁への制作提言、それを多くの産業・企業の叡智を結集して行うことが価値ある事業であることは間違いありません。一方で、大きなブレイクスルーを実現しようとする勢い・革新性とは必ずしも相性が良くないかもしれません。その両方がぶつかり合うようなダイナミズムが生まれた時、真に必要な変革が進んでいくのではと感じた経験でした。

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