文月ブログ

森林情報のオープン化

不動産は誰にでも情報開示されるのに、森林はなぜそうではないのか。オープン化を目指して森林情報の整備に取り組んだのに、周囲からの猛反対で断念した方の話を興味深く聞いた。資源情報がオープンになれば、誰かが知らないうちに伐採して運び出してしまうかもしれない、それがなくても、自分の財産価値を人に知られたくない、そんな懸念が多くの森林所有者の頭を占めているようだ。
盗伐・誤伐に関しては、高性能林業機械へのGPS装着と走行記録の伐採届との一致確認、伐採届と衛星画像との照合など、技術的には防止する手段がある。森林の価値は情報がオープンになることで利用への道筋が開け、むしろ上がるはずだが、それを人に知られたくないという心理は変えることが難しい。
以前、東北の素材生産事業者に林業ICTの導入について尋ねた時の、「生産量が全部わかってしまったら困る」という言葉が忘れられない。利益をできるだけ少なく見せるために、数量はごまかすのが当然、それが中小企業の常識だと言われた。自分の利益に固執する人たちが退場し、オープンにする方が自分も全体も良くなると考える世代が台頭するのを待つしかないのだろうか。
いや、今できることをやり、着々と準備を整え、ある時一斉にジャンプして彼らを遥かに抜き去ればいい。私はそれを側面から支えたい。できれば多くの都市生活者の、林業への理解と森への想いを届ける形で。

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