高知県本山町での森林活用、今の時点で振り返ると、自分が凡庸なアイディアしか出せなかったことに悔いが出てきた。もっと尖ったものが必要で、それが可能な気がしてきたのだ。
清水の流れる水路を辿りながら登る山は、至るところ美しいコケに覆われている。きっと水を好む生き物が沢山いるだろう。そして、道は急だが比較的登りやすく、町を見渡せる展望台に続く山は乾いていて、植生がまるで違う。ここには乾いた環境を好む昆虫が多そうだ。この二つの山の登り口は、歩いてわずか15分しか離れていない。この二か所をセットにして開催する、「自然科学甲子園」はどうだろう。
全国の中学・高校の生物部など、自然科学系の部活動に参加を呼びかけ、2泊3日の合宿で二つの山に登り、地形や土壌、どんな生き物がいるかを調査する。そして、湿った山にいる生き物をもっと増やすには何をしたらいいか、どんな植物を植えたら良く育つのか、逆に乾いた山の生き物のためには何が望ましいのか、発表をしてもらう。楽しさや実現可能性、提案の根拠などを審査し、優秀な学校のプランは実際に採用される。それをドキュメンタリー番組として放送する企画をテレビ局に持ち込む。もちろん、宿泊施設と店舗を運営するM社にも協賛してもらう。
自分達の提言で実際に自然に手が加えられるという経験は滅多にできないことだ。翌年、その場所がどう変わったかを自分の目で見たいだろう。採用されなかった学校の生徒にも、流した汗の重さの分だけ、貴重な思い出になるはずだ。そしてそれが毎年の行事になり、後輩達に受け継がれていけば、本山町に思い入れのある人が増えていく。森は生き物達の楽園に変っていき、それを目当てに訪れる人が増えれば、地元の人達もその価値に気づくだろう。
「童心の森」は、子供が生き物と触れあい、彼らのための環境を整えるために考え、行動する場所になる。森に開いた共存のためのゲート、そんな夢はいかがだろうか。
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