文月ブログ

人手不足が促す技術革新

人手不足が私達の暮らしにも迫りつつある。ニュースや新聞で報じられ、知識として知っているという範囲を超えて、より身近に感じられるようになってきた。
先日宿泊したホテルでは、二次会のカラオケルームがアルコール類の提供を含め完全にセルフサービスになっていて、従業員は全く姿を見せなかった。待つ必要が無く、自分で飲みたい濃さに作れるのはむしろ便利ではあるけれど、接客による価値を提供してきたホテルの姿勢が大きく変わったと感じた。この業界に詳しい知人から、従業員がいないので、最近では宿泊料金を値上げし、客室の稼働率が低くても利益が出るようにする施設が増えているという話も聞いた。
そしてつい先ほど、近所の大型小売店舗で、1階の生活用品売り場のレジに従業員が一人もいないという事態に遭遇した。クレーム対応でもしていたのか、担当者が戻るまでの5分ほど、会計を待つ客が列に並びながら怪訝そうに待っていた。この店を利用して30年以上になるが、店内にまだ多くの人がいる時間帯に、こんな光景を見たのは初めてだ。
私達が当たり前のように享受していた、素早い会計や丁寧な顧客対応は、もう贅沢なものになってしまうのかもしれない。しかし、「お前の代わりはいくらでもいる」と劣悪な労働環境を押し付ける経営者がいなくなり、「従業員の方が大事」とモンスタークレーマーを出入り禁止にするのが普通になる方が、よほど健全な社会だとも思う。
最近の新聞記事で、当初RCだったマンションが木造化され、元受け会社がそのメリットの一つとして、過酷な暑さが緩和されたという職人目線の効果を上げていたのが印象に残った。木は人に優しい。働き手にも利用者にもその価値が見直されるきっかけになるといい。

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