21世紀は水の時代と言った人がいた。水が様々な場所・局面で大きな鍵を握るという意味だ。地球温暖化の影響は、まず水のふるまいの変化に現れる。ハリケーンやサイクロン・台風が大型化し、集中豪雨は「数十年に一度の大雨」という表現が適切なのかと疑いたくなるほど頻発する。それらの被害は深刻で、今まさに水害の危険に晒されている人々にはどうか無事でと祈り、壊れた建物や橋などを直して、暮らしが続いていくことを願う。
注目されることが少ない割に深刻なのは、長期的に雨の降る地域や頻度・量が変わってしまうことではないか。有史以前から、人は水を巡る争いを繰り返し、長い時間と知恵を注いで今の居住環境を作ってきた。大陸を縦断する大河では、水の利用に関して流域の国同士が対立することは珍しくない。そこに大規模な干ばつや、記録に無いほどの洪水が起きて何年も続くようになれば、人々はその地域に住み続けることができず、大規模な移動を強いられる。それは貧困層の拡大や、新たな紛争の火種にもなり得るだろう。
樹木は動くことができない。周辺の環境が大きく変化しても、ひたすら耐え、適応できなければ枯れていく。枯れないまでも、樹勢が弱まれば虫の侵入を許し、材としての価値が下がってしまう。㏇2の濃度が一定の値を超えると、光合成の効率が下がり、呼吸で排出する量が上回るという説もある。木々はいったいいつまで、私達に恵みをもたらしてくれるのだろう。ずっと変わらないように見える森林も実は、私達の文明の副産物と闘っている。
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