文月ブログ

森を巡る旅-国産材ビジネスセミナーその3「視察旅行での学び①」

国産材ビジネスセミナーでは年に一度、大阪の経営実践研究会のメンバーと合同で、全国の林業地を訪ねる視察旅行がありました。詳しい内容の説明は控えますが、特に印象に残ったことを書いてみたいと思います。
2010年には、和歌山の高野山を訪ねました。標高1000メートルの高野山全体がお寺の境内で、百を超える寺社や宿坊があることに驚きました。広大な敷地に、他の地域ならこの一本で天然記念物では?と思うような巨木が数えきれないほど立ち並び、その迫力に圧倒されたのを覚えています。高野山には自社林を守る山林部があり、「共利群生(きょうりぐんじょう)」の森を目指した施業を行っていました。共利群生とは弘法大師空海の教えで「生あるのもが、共に扶けあい学びあう関係」という意味のようです。初めてお会いした大阪の研究会の皆様とのご縁もでき、こんなセミナーに参加していることの喜びを感じた視察旅行でした。
2011年には新潟県を訪れました。加茂市にある、桐を使った製品の専門店で、その魅力に強く惹かれました。昔から桐箪笥が嫁入り道具に欠かせないものだったのは、その軽さと気密性、防虫性、肌触りなど、全てにおいて優れた素材だったからでしょう。学問的には木ではなく草だそうで、成長が早く15年から20年で成木になるとのこと。弾力と温かみのある床材など、もっと多く使われればいいのに、と思いました。
この旅でもう一つ印象に残ったのは、地元の有力な工務店が建てた3棟のモデルハウスでした。地元の木材を現しで多用したエコでシンプルな家、もう少しデザインにこだわった近代的な家、最後はナラやクリなどの輸入材を多く使った重厚な家です。これだけ国産材、国産材と言いながら、私自身が住みたいと思ったのは好みのダークブラウンの、輸入材の家だったのです。同行者にもからかわれましたが、自分の気持ちを偽るのは違うと感じました。理念と購買欲は別、だからいくら国産材を使うことが重要だと頭でわかっていても、それを消費者に求めるのは間違いだと気づいたのです。このことは、今でも重要な学びだったと折にふれ思い返します。
2012年には、久万高原と土佐の嶺北を回りました。久万広域森林組合では、担当者にタブレットを配り、林地の集約化に力を入れていました。組合では大規模な製材機を導入して、年間に何万立法メートルもの製品を生産していましたが、そこで印象に残ったのは、効率を上げ、採算を取ろうとすると、仕入れ単価を抑えるためにB材と呼ばれる二級品扱いの丸太が必要になり、その集材が大変だという声です。大規模な生産設備の導入には、このようなジレンマが生じるものだということを、この時初めて知りました。
土佐嶺北では、地元の杉の集成材をレーザーで美しく加工した「モクレース」という商品の生産現場を見せて頂きました。この企業とは、この後も「モクレース」を使ったワークショップなどを通じて、長いお付き合いが続いています。
日本全国の林業地を訪ね、その地域の林業を知り、そこで働く人々と出会う旅は、私にとってかけがえの無い経験で、現在の仕事の土台にもなっています。明日も更にお話しましょう。

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