林業DXがリアルに普及する、今はその前夜かもしれない。これまでも、IT技術を用いて管理する森林の資源量や質をデータ化し、作業の効率化や安全性の向上などに生かしている事業者はいた。しかし、高性能なドローンやモバイルレーザーは安いものでも一式500万円。補助金で購入したとしても、データの保存や分析に必要なシステム利用料がかかる上、機能が多過ぎて一般人には使いにくいなど、一気に拡大するようには見えなかった。何より、林業そのものの利益率が低いのに、資源調査にコストや人材を振り向けても、それを上回る収益が見込めないことがネックだったと思う。
それが最近、リュックサックに付けられる25万円程度のライダー(レーザースキャナー)を提供するメーカーが現れて、この種のサービスに価格破壊を起こそうとしている。地上レーザーは樹高の精度が低くなるが、曲がりや枝の有無も補捉可能だ。ある大学の調査によれば、機器にもよるが、12m程度までの直径の精度は誤差2センチ内外に収まるという。木材は3mか4mで切ることが多いので、3番玉までの収穫予想が出れば十分だ。曲がりを考慮した造材シミュレーションを行えば、林業事業体が真に必要とする利用材積の推定に役立つだろう。このデータの分析に必要なアプリの利用料は月額1万円前後、これなら使ってみようという組織も多いのではないだろうか。
このメーカー以外にも、多くの若い技術者が研究を重ね、サービスを開発している。本当に現場に受け入れられる技術・サービスはどんなものか、注視していきたい。
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