木造4階建てマンションの構造見学会に伺った。場所は千葉市内の閑静な住宅街。敷地に近づくと、鉄筋の足場の内側にそびえ立っているのは、鉄骨や灰色のコンクリートではなく茶色の木造建築だ。ワクワクしながら中に入ると、ロビーの広い空間にわずかに鉄の梁が使われている以外、見渡す限り全て木材でできた空間が広がっている。柱はSPF、構造用合板は国内メーカーのものだ。下層の二階は30㎡弱のワンルームタイプ、上層の二階は80㎡を超えるファミリータイプの住宅が並ぶ。全部で40戸程度か。
この建物には多くの新しい技術が使われていて、建材メーカーの担当者が丁寧に説明をしてくれた。建物の上下階を強固に、従来の物より安価に接合する金具。外壁のサイディングに施される、光触媒で汚れを分解する塗装。コンクリートの型枠がそのまま天井の仕上げ材になる、杉の板目が美しい部材など。中高層の木造建築が増えると予想し、そのための技術開発に力を注ぐ各メーカーの意欲が伝わってくる。
この建物に使われた構造材は約600㎥、しかしそのうちの約350㎥が輸入材だ。これが国産の杉に置き換わったら、どれほど大きな需要になるだろう。ある事業者の計測では、杉で作ったパネルはSPFのものに比べ、3倍精度が高かったという。大径材の有効利用にも役立つはずだ。国産材事業者が、在来向け中心だった生産方式を見直し、2×4(ツーバイフォー)という大きなマーケットに向き合ってくれることを願う。
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