パワーショベルやクレーンなど中古の建設用重機が海を渡っていく。新品を買えば数千万円する機械が数百万円で買えるので、修理して海外に移送すれば十分利益が見込めるらしい。オークションには東南アジアだけでなく、アメリカやオーストラリアなどからも多数のバイヤーが集まるそうだ。日本の中古車も海外で人気があるし、鉄道会社が手放した古い車両も海外では現役で走っている。日本人は車や機械を丁寧に扱い、車検などの審査も厳しい。だから中古でもまだ長く使い続けられるという信用があるのだろう。
車は国内でも中古車市場で取り引きされるが、中古住宅の市場が大きくならなかった理由は何なのだろう。一つは日本の気候が高温多湿で、戦後に多く建てられた木造住宅の品質では建物の劣化が激しかったこと。そして多くの木造住宅が、どのような部材をどのくらい使い、誰がどのように建てたのかの記録が無い、つまり再販に必要な資産価値の査定に使える情報が不足していたこと。そして更に、家は狭い敷地と家族の事情に合わせたオーダーメイドで、他の人が使う事が想定されていないこと。そんなところだろうか。
中古住宅の流通が年間400万件というアメリカでは、リセールを考えるので、同じ地域だと違うのは塗装くらいで中は似通った家が多いらしい。国内の不動産関係の方に最近聞いた話でも、凝った作りの家は建て主が希望する値段で売れないことが多いそうだ。
私は住宅の専門家ではないけれど、地域の木材を効率良く使い、採算性を上げようとすれば、企画型の住宅が継続して売れていく状況が最も好ましい。円安と日本製への信頼は、輸出への道も拓くだろう。高品質で、誰もが暮らしやすく、再販に耐える建築情報を備えた住宅は、山にとっても施主にとってもプラスではないかと思う。
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