木は家になる。でも現代の住宅は木材だけではできない。ドアやサッシはもちろんのこと、壁の内側には断熱材、外側には防水シートが必要だ。都市部の木造だとそこに耐火ボードも加わり、省エネを実現するには外側にも分厚い断熱材を貼ることになる。その複雑で厚みのある壁と、上に載る屋根をどうやって隙間なく接合するのか、設計図に書かれていないその工程を脳内で描き、家という剛性と気密性を持った完成品に仕上げてきたのは大工さん達だ。彼らの頭脳のおかげで、日本の在来木造は残ってきたのだという。
しかし今や、サッシをはじめとする建築部材はとてつもなく重くなり、加工は煩雑さを極め、大工さんが現場で作業できる限界を超えてきている。それを解決するためのツールが、木造建築をデジタル化した「大型パネル」の技術だ。大工さんへのリスペクトから生まれたことを知っているから、上棟現場で動く大工さん達の顔はみな明るく誇りに満ちている。
この技術が情報のハブとなって山と建築をつなぎ、森林資源を最短距離でお施主さんに届けられる時、為替変動や海外の諸事情に振り回される外材よりも、国産材が選ばれるようになっていくだろう。
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