文月ブログ

次のステージに向けて

直感を信じて、価値のある人に食い下がる。お花畑と言われようと、60も過ぎて何をやってきたのかと呆れられようと、自分の無能さに背中が凍える思いをしながら、それでも「国産材を」と言い続けた。
決してエリートではない普通の人達が大きなリスクを取り、コツコツ努力し、見違えるような組織になった、その何気ない日常と奥底に光る価値を書いて、彼ら自身に喜んでもらえた。
それが「森林列島再生論」に繋がっていった。
思えば、何という運に恵まれたのだろう。三年前の自分の無知と浅はかさは、今になって振り返れば顔が赤くなる。
最近、林業ICTマーケティングという目的を持って人の話を聞くようになった。ヒアリングの相手は、何のためですか?と聞いてくる。本や雑誌の執筆なのか、どこかに成果を発表する研究か、それとも企業の営業活動なのか。一義的には林野庁の補助事業を活用した大学からの委託調査なのだが、自分の中にはその枠に収まらない興味・意欲があり、中々上手く説明できない。
そんな私を一喝するような、厳しい人に出会った。ある県でシステム販売の仕組みを構築し、木材流通を大きく変えてきた方だ。たった一時間のヒアリングで到底理解できるはずが無いと言いながら、早口で多くの情報を下さった。記憶とメモを頼りにレポートを作成して送ってみると、真っ赤に訂正され、多くの部分に「内容が異なる、理解が一部に留まっているので削除してください」と書かれた書面を返された。
恥ずかしさと情けなさがこみ上げる。
それでも、自分の浅さを指摘してくれる人は宝だ。何もできずに訴えるだけの人間から、林業に関するレポートの誤りを、時間を費やして直して頂ける人間になれたのだと思う。
そろそろ、具体的な目標を定めて次のステージに向かう時期だというサインなのだろう。何のために林業ICTに関する話を聞くのか、自分の興味・関心以外に、公益に適う側面を持ちうるのか、半年間で得られた内容を分析し、その結果を幾人かの専門家に送って意見を仰いでいる。
私はあくまでも生活者の立場で、森で働く人々とその目線を追い続けたい。その先には冬晴れの空に連なる木々の梢が、私を手招きしてくれていると信じて。

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