昨年頃から、近所で木造3階建ての建設が増えている。と言っても二つのパターンがあり、一つは10戸~15戸程度の集合住宅、もう一つは狭い敷地にひしめくような細長い戸建て住宅だ。古い一軒家が取り壊され、その後に4軒が建つ事も珍しくない。一階部分に玄関と駐車場があり、おもちゃやキックスケーターが置かれているのを見ると、多くが子育て中の世帯らしい。住宅価格の高騰で、若い人達がローンを組める戸建てとなると、必然的に敷地面積が狭い住宅になるのだろう。
集合住宅の3階に住むのと、3階建ての戸建てに住むのは生活動線が全く違う。実は私も3階建てに住んでいるのだが、寝室・風呂とリビングが2階と3階に分かれているので、朝起きてから寝るまでの間、一日に何十回も階段を上り下りする。宅配便が届けば1階まで降りて受け取り、3階に持って上がる。飲料水のストックは何とか2階まで運び上げ、必要になる度に3階から取りに行く。今はそれが日常で苦にならないが、足腰が弱ってきたら住み続けられるのか不安がある。細長い3階建てを購入した人達は、ローンの返済が終わった頃に住み替えをしたくなっても、細切れの土地と住むのに体力の要る建物が資産になり得るのか、恐らく考えていないのではと思う。
ネット上では、都市部から田舎に移住した人が、歳を重ねるに従い、車に依存する生活に限界を感じて都会に戻るという記事が溢れている。一方、高齢になってから賃貸住宅に入居するには高いハードルがあり、特に単身の場合、お金を積んでもURのような公的機関しか貸してくれない傾向があるようだ。そういう方の行先として増えているのがサービス付き高齢者向け住宅と言われる施設で、自立から要介護・看取りまで、入居者の状況に応じて必要な支援・介護をしてくれる。千葉県内に約400カ所、千葉市内だけでも60カ所と近年増えているようだ。完全に自立できていて普通の生活をしたいと思っている人も、20㎡程度の居室以外は共有で、施設の規則に合わせて暮らさなくてはいけない。料金も決して安くはなく、千葉市の場合、入居一時金の中央値は30万円(高級物件は数千万円)、月額費用は19万円前後らしい。(安心介護紹介センター)見守られる安心感があるとは言え、自由な一人暮らしとの違いは大きい。
自然豊かな地方で安心して快適に暮らす方法はないのだろうか。最近、ある豪雪地帯では、一見不釣り合いなタワーマンションが人気だそうだ。雪下ろしの負担が無く、コンビニやクリニックが併設された安心感が大きいのだろう。それが解決策の全てとは思わないが、そこには重要なヒントがある。ある程度集まって住むことの利点が、生活インフラを巡る安心感に根差していることだ。
地方では橋や水道施設などの劣化が進んでいるが、その全てを維持する事は難しい。ならばインフラの末端で生活する人々が進んで転居してくれるような、魅力ある集合住宅を考えてみよう。薪ボイラーと大きな貯湯槽を備えた木造アパート、機密性が高くて温かく、一年を通して光熱費が安くすむ。ボイラーに薪や木屑を投入するのは、障がい者や高齢者でも担える仕事だ。周囲には薪の乾燥庫や広い菜園を備え、同じような集合住宅と市街地の病院・商店・学校を自動運転バスで結ぶ。それらを地域の森林が支えることで、暮らしと産業が続いていく安心感が生まれ、人口は減ってもどこかで均衡する。そんな「森のぬくもり住宅」ができたら、私は喜んで移り住み、共働きの親後さんに代って子供を見守ったり、ボイラーの自主点検をしたりしながら暮らしたいと思う。
文月ブログ
コメント